ケネディクス不動産投資法人(以下「本投資法人」といいます)の資産運用を行うケネディクス・リート・マネジメント株式会社(以下「本資産運用会社」といいます)の宮島社長あてに平成23年11月下旬に実施したインタビュー等をもとに「ケネディクス不動産投資法人Q&A集」を以下の通りまとめました。
平成23年12月20日現在
- Q.約1年9ヵ月ぶりとなる公募増資を行いましたが、その狙いは何でしょうか?
- Q.今のタイミングで物件取得を押し進めることが、ポートフォリオの収益にどう貢献するのでしょうか?
- Q.不動産売買マーケットは活性化しているのでしょうか?
- Q.公募増資の意義として担保権解除がありますが、どんな効果があるのでしょうか?
- Q.公募増資の意義として挙げている取得余力の創出がもたらすものとは何でしょうか?
- Q.現在のオフィスビルの賃貸市場について、どう捉えていますか?
- Q.安定的な稼働率維持のためにどのような取り組みを行っていますか?
- Q.リーシングについて教えてください。
- Q.大型オフィスビルが大量に供給されるといわれている「2012年問題」の影響はありますか?
- Q.東日本大震災以降、オフィスビルの省エネ対応など環境に配慮した取り組みへの関心がますます高まっていますが、どのような取り組みを行っていますか?
- Q.10周年を迎えたJリート市場においてケネディクス不動産投資法人はどのようなポジションを目指していきますか?
- 約1年9ヵ月ぶりとなる公募増資を行いましたが、その狙いは何でしょうか?
- 今回の公募増資には大きく3つの意義がありました。1つは、相対的に高い収益性を確保できる価格で新たに4物件の取得ができたこと。2つ目は、平成21年4月に設定されたすべての担保権が解除され投資法人債の発行が可能になるなど、財務基盤が大幅に改善されたことで今後の財務戦略における柔軟性と機動性が増したこと。3つ目は、LTV(有利子負債比率)を43%から40.3%に引き下げることができ、約300~400億円の新たな物件の取得余力ができたことです。私どもはこれらの成果が今後の中長期的な成長に大きく寄与すると考えています。
- 今のタイミングで物件取得を押し進めることが、ポートフォリオの収益にどう貢献するのでしょうか?
- 私どもは第10期(平成21年4月期)に他社に先駆け公募増資を行い、平成21年11月から物件取得を再開し、継続的に物件を取得することで成長の第2ステージを駆け上がってきました。
取得の再開から第13期末(平成23年10月31日)までに合計13物件430億円の取得を行いましたが、その平均NOI利回りは5%台半ばです。それ以前に取得した物件の平均NOI利回りが5%を下回ることを考えますと、今このタイミングで物件の取得を推し進めることで相対的に高い収益を確保することができており、それによりポートフォリオ全体の収益を大きく押し上げることができているといえます。
- 不動産売買マーケットは活性化しているのでしょうか?
- 現在、不動産売買マーケットでは、償還期限が到来するCMBS(商業不動産担保証券)やリファイナンス時期を迎える不動産私募ファンドがかなりあり、物件の取得機会が増してきています。そのような状況の中、第10期(平成21年4月期)から再び成長へと舵をきり実際に物件を多数取得しているという実績によって、「中規模オフィスビルといえばケネディクス不動産投資法人」という認識が市場関係者の間で浸透してきています。それにより私どものもとには良質な物件情報が様々なルートから入ってきており、最近では仲介業者を介さずに売主から直接情報が入ってくることも多くなりました。結果として、私どもは中規模オフィスビル売買市場において有利な立場に立つことができ、数多くの物件情報の中から厳選して物件を取得することができています。第13期(平成23年10月期)に取得した4物件も、すべて第三者からの取得でした。今後もこのアドバンテージを活かし、積極的に物件を取得していきたいと考えています。
- 公募増資の意義として担保権解除がありますが、どんな効果があるのでしょうか?
- 担保権解除は、私どもの財務運営に柔軟性と機動性をもたらすもので、非常に重要な意味を持っています。
もともと保有物件の担保権設定(平成21年4月)は、金融危機の際に資金調達を円滑に行うためのものでした。しかし、現状では金融市場の混乱が収まり、金融機関からの借入環境も正常化したことから、私どもが今回の公募増資で資本市場から資金調達ができることを証明したことをきっかけに、担保権が解除されることとなりました。
この担保権の解除により、発行に制限がかかっていた投資法人債を約4年半ぶりに15億円発行することができました。また、こうした財務基盤の強化により新規の金融機関からの借入れも実現し、調達手法の多様化がさらに進んだことで今まで以上に財務運営に機動性が確保されました。担保権が解除されたことで金融機関の同意を得ることなく機動的に物件売却ができるなど、ポートフォリオの入替えの自由度も増しています。
- 公募増資の意義として挙げている取得余力の創出がもたらすものとは何でしょうか?
- 私どもは、安定した財務運営のため原則としてLTV(有利子負債比率)は40%台前半での運営を目指していますが、優良な物件取得等のための借入れであれば、一時的に40%台後半での運営もできることとしています。
今回の公募増資でLTVが43.0%から40.3%に下がったことで、金融機関から新たに借りられる資金の余力を創出することができ、手元資金と併せておおよそ300~400億円の物件取得が可能となりました。財務基盤が強化されたことにより資金調達のコストも低下しその調達資金を新たな物件取得に使うことによって規模の拡大をさらに押し進めていくことができると考えています。
また、投資口の発行に比べ金融機関からの借入れの方が機動的に資金調達を行いやすいため、優良物件が市場に出たタイミングを逃さず、迅速に物件を購入することができます。市場から優良物件を取得するためには、常に資金調達ができる態勢を保っておくことが重要であると考えています。
今回の公募増資により、今まで以上に有利な立場で物件を取得できる環境が整い、また今後の成長戦略を着実に進行できる財務基盤を整えることもできました。今後も継続的に物件取得を行うことで規模の拡大を実現し、中長期目標として100物件、資産総額4,000億円を目指していきたいと思います。
- 現在のオフィスビルの賃貸市場について、どう捉えていますか?
- 東日本大震災直後は事務所の移転計画を一旦凍結したり物件探索を中断する傾向がありましたが、その後は震災による直接的な影響はほとんどありません。目下、都心5区のオフィスビルの空室率は8~9%前後で推移していますが、私どもの東京経済圏のオフィスビルの平均空室率は5%前後と市場の平均を下回っており、過去3年の平均稼働率も94%程度と高い水準で安定しています。
- 安定的な稼働率維持のためにどのような取り組みを行っていますか?
- 安定的な稼働率を実現している背景には、顧客であるテナントに満足していただけるオフィス環境づくりへの取り組みがあります。
私どもはプロパティ・マネジメント業務を本資産運用会社内部で行っており、日ごろからテナントとの関係を深めることに努めています。
具体的な取り組みの一つとして、定期的にCS(顧客満足度)調査を実施し、テナントの建物やサービスに対する要望を把握し対応することを継続して行っています。平成23年9月に行った第4回CS調査の結果では、ハード面、ソフト面ともに前回に比べ「満足度が向上」という結果を得ることができました。実際にCS調査でいただいた要望に対して誠実に対応することで、継続して入居したいというテナントの割合も増えており、そのような取り組みが安定的な稼働率維持のベースになっていると考えています。
- リーシングについて教えてください。
- リーシング力がより強化されてきていることも私どもの強みの一つです。中規模オフィスビルのポートフォリオとして2,000億円を超える規模があり、賃貸物件を多く抱える私どもには、常日頃から情報を密に交換し合っている賃貸仲介会社が多数あります。これらの先は、もし私どもの物件に空室が生じた場合でも物件ごとに適したテナントを迅速に紹介してくれるので、それが空室期間の短縮につながっています。
私どもはこれまで数多くの中規模オフィスビルの運営を行ってきており、その経験からリーシング活動におけるノウハウも十分に蓄積しています。中規模オフィスビルの中でも高い競争力を有する物件で構成された私どものポートフォリオに対し、強みである高い運営管理能力を適切に発揮していくことで、引き続き稼働率の維持・向上に努めていきたいと思っています。
- 大型オフィスビルが大量に供給されるといわれている「2012年問題」の影響はありますか?
- 私どものテナント層は、1テナントあたり50~200坪の賃貸面積をボリュームゾーンとしていることから、大型オフィスビルのテナント層とは重ならず、大きな影響はないと見ています。また、中規模オフィスビルはフロアの規模から見て中小の事業会社向きで、顧客層が厚く、特定の業種に偏ることもなく自ずと分散されています。このことから、適切に運営管理された中規模オフィスビルは、相対的に良いパフォーマンスを上げることができる投資対象であると考えています。
- 東日本大震災以降、オフィスビルの省エネ対応など環境に配慮した取り組みへの関心がますます高まっていますが、どのような取り組みを行っていますか?
- 私どもでは今夏の電力削減において政府のピークカット15%の削減目標に対し、大口需要家物件では30%台の削減を実現しました。
これは共用部の節電に加え、専用部分においてテナントの積極的な協力があったおかげです。普段からテナントとの密なコミュニケーションを行っていることが、節電の実績にもつながりました。共用部における節電対策としては、空調や照明の調整等の他に、約1億円の工事予算を確保して避難誘導灯のLED化を行うなど、積極的な省エネ工事も進めています。
環境対応の点では、中規模オフィスビルマーケットは物件単位で個別オーナーに管理されているビルが多いため、まだまだ対応が進んでいないのが現状です。しかし、私どもは2,000億円以上の中規模オフィスビルのポートフォリオを保有していることから、個別物件単位ではなくポートフォリオ単位で規模のメリットを活かしながら、省エネやエコへの取り組みを率先して行っていける立場にあると思っています。環境に配慮した不動産への注目は今後より一層高まってくると考えられ、近い将来、環境対応がオフィスビルの競争力に大きな影響を与える可能性もあります。そこで私どもは平成23年11月に「環境方針」を制定することで意識を高め、その方針に基づく運用を心掛けていくこととしました。
また私どもの取り組みが形に表れた例として、平成23年6月に保有する3物件について日本政策投資銀行(DBJ)による「DBJ Green Building認証」をJリートとして初めて受けることができました。こうした環境への活動は、ホームページ「環境への取り組み」で紹介しています。
- 10周年を迎えたJリート市場においてケネディクス不動産投資法人はどのようなポジションを目指していきますか?
- Jリートの中でも2,000億円以上の中規模オフィスビルを保有しているリートは私どもだけです。物件面、テナント面ともに幅広いストックを抱えるこのマーケットは、高いポテンシャルを持っていると考えています。リートの評価を決めるのは保有不動産のポートフォリオが生み出すキャッシュ・フローと資産運用会社の運用力に尽きます。私どもは中規模オフィスビルのプロとして十分な経験と実績を持ち、物件取得、物件売却、管理、運用、リーシング、財務運営すべてにおいて、経験豊かな人材が自信を持って日々の運用を行っています。投資主からこれまで以上に、信頼感、安心感のあるリートと感じていただけるよう、規模の拡大により信用力を高め、投資主の中長期的な収益の向上に貢献していきたいと思います。


